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アートセラピーの基礎知識

表現されたアートには、その人の言葉にできない想いや、自分でも気付いていない本当の気持ちがあらわれています。アートセラピーは心理学的なアプローチでアートを読み解き、カウンセリングや自己分析に役立てます。

アートセラピーの一例……『幸せ』『喜び』について表現してみる

あるアートセラピーでは、絵で「幸せ」「喜び」について表現してもらいました。せっかくなので、今このサイトをご覧になっているあなたも、色えんぴつなどを使ってぜひ挑戦してみてください。

どんな分析になる?

以下でご紹介するのは、実際にいろいろな方が「幸せ」「喜び」について表現してみた絵です。それぞれがどのような解釈になるのか、簡単に解説したいと思います。あくまで参考ですので、細かい部分や根本的な部分は個々で違いますが、ご自分で描かれたものと似たものがあれば、ぜひ参考にしてください。

花火のように外へ外へと広がっていきます。その喜びを自分ひとりで味わうのではなく、周りにも広げていくかのようです。 じわじわとあふれていく喜びのようです。穏やかな至福の状態にも見えます。次第にそのやわらかい広がりがまわりに伝わっていくようです。
私は今こんなにうれしい!と自分で喜びをたっぷりと味わっているようです。中央にある目と大きな口がその喜びの大きさを表現していますね。 人々と共有する喜び。自由表現というよりも、具体的表現になっています。人間の心に伝わっていく様子がこの人にとっての喜びの瞬間なのでしょう。
周りがどうであれ、自分の幸せや喜びをたっぷりと味わっている様子。自分が喜びにあふれてさえいれば、その存在は周りから見てもはっきり分かりますからね。 小さな花びらがちりばめられていく様子。同じモチーフの連続は、喜びの大きさを表現しています。シャボン玉のように次々に生まれてくかのようです。

大切なのは、あなた自身が描いた絵を、しっかりと見つめること。思いのままに描いたその絵に、あなたの心がどのように反映されているのか。じっくり絵と対話することが自分の理解につながり、心の平穏や自信を導いてくれるでしょう。自分で分析しきれない、もっと深く知りたい、という方は、一度アートセラピストに見せてみるのもいいかもしれません。

アートセラピーのさらなる効果

アートセラピーでは、上でご紹介したように「自分でも気付かなかった自分」に出会うことができます。自分の不安・哀しみ・寂しさ・喜び・楽しさなどをしっかりと把握すること(自己分析)は精神の安定にとって非常に重要で、セラピー・カウンセリングにおいて欠かすことのできない要素です。そしてアートセラピーでは、そのほかにも次のような効果が期待できます。

感情の発散と解放 ~カタルシス~

描画や造形で思いのままに表現することで、心の中に抑圧されていた感情が、外の世界へと発散されていきます。言葉では表現しきれない想い、自分でも気付いていなかった気持ち……そういったものが解き放たれるとき、あなたの意識はパッとひらけ、あるいはスーっと楽になり、心理的な浄化(カタルシス)へとつながっていくのです。こうした経験は、私たちの創造性を呼び起こすきっかけとなりえます。

好奇心・意欲の回復 ~リカバリー~

しっとりとしたクレヨン、ザラついた切り絵紙、ムニムニと柔らかい粘土……さまざまな素材に直接触れ、指先を通してさまざまな刺激を受けることは、私たちの無意識にも心地よい影響を及ぼします。幼いころの無邪気な心や好奇心を呼び起こし、自己回復への呼び水となるのです。このことからアートセラピーは「素材のセラピー」とも言われており、精神医学や老人介護の現場でも用いられています。

アートセラピーの種類

一般的なアートセラピーには、次のようなものが挙げられます。

  • 絵画療法、造形療法……思いのままに絵や彫刻、手芸、粘土などで表現してもらう手法
  • 箱庭療法……人形やおもちゃを箱の中に自由に配置し、箱庭を作り上げてもらう手法
  • 音楽療法……音を聴いたり演奏したりして、音の世界に身をゆだねてもらう手法
  • ダンスセラピー……身体を使って自分を表現し、人と体験を共有してもらう手法

どの手法においても、完成した作品には本人がこれまで気付かなかったような深層心理や自己表現が反映されます。それを読み解いてカウンセリングに役立てるとともに、内面にこもりがちな感情・想いを解放することで、生きる勇気や楽しみを回復させます。「自分」という存在への理解が深まることで、確たる「自分」を形づくっていけるのです。

クエストではこのほかにも、絵本や切り絵、全身を使ったアートセラピー(ムーブメント)を実施しています。アートセラピーコースにおいても、このようなセラピーの実践を交えながら、心理学やカウンセリング技法を伝えていきます。

アートカウンセリングという考え方

アートカウンセリングは、絵や造形などによるアートセラピーを通じて行うカウンセリングです。その目的は、悩みを解決することであったり、人生の方向を見定めることであったり、「自分」というものを知ることであったり……。

言葉を使わない「アート」という表現だからこそ、自分を縛っている理屈や習慣、思い込みから自由になり、新しい「もののとらえ方」や「考え方・行動力」を得ることができます。老若男女、あらゆる世代の方々が能動的に、夢中になって取り組んでくれるのもアートカウンセリングの魅力です。

アートカウンセリングを行うには?

アートカウンセリングを行うには、アートセラピストとしての知識・テクニックが必要です。クエストでは国内資格国際資格を取得できるアートセラピスト講座を開講していますので、アートカウンセリングに興味をお持ちの方はぜひご参加ください。

アートセラピーの歴史

アートセラピーの概念は20世紀なかごろ、アメリカの精神分析医マーガレット・ナウムブルクによって生み出されたと言われています。ナウムブルグは「芸術表現」と「精神医学」がともに「心に働きかける力」を持っていることに注目し、アートが子供や精神病患者にどのようにかかわるかを研究、多数の書籍を出版しました。彼女自身が「アートセラピー」という言葉を考案したわけではありませんが、アートセラピーの本質的なパイオニアと言えるでしょう。

「アートセラピー」という言葉を初めて用いたのは、ナウムブルクと同時期にイギリスで結核患者のためのサナトリウムでアートを教えていたエイドリアン・ヒルとされています。そのエイドリアン・ヒルのもとで働いていたエドワード・アダムソンが1946年にロンドンの精神病院でオープンスタジオ形式のアートセラピーを開催し、以降そのスタイルは多くの精神病院で行われることになりました。

アートセラピーの成り立ちにはそのほかにもいろいろな説がありますが、精神に働きかけることが目的の一つであったことは違いがないようです。また、「アートセラピー」という言葉自体は新しくても、芸術活動を通して心を癒していく作業が古代から世界中で行われてきたことは疑いようもありません。

アメリカで発展

アートセラピーは20世紀なかごろの誕生以降、アメリカで劇的に広まっていきました。1971年の時点ですでに大学院レベルのプログラムが3つできており、現在では60以上の大学・大学院でアートセラピーを学ぶことが可能です。アメリカのアートセラピストはすでに社会的に認知された職業となっており、この職業に就くためには心理学と美術教育を大学レベルで習得し、大学院でアートワークセラピーの臨床体験を約2000時間経験することが求められます。

日本では残念ながらまだまだ認知度の低い状況ですが、アートと心理学の力をあわせもつアートセラピーは、日本でも多くの人の助けになるはずだとクエストは信じています。

2014年、世界基準のアートセラピーカリキュラムが日本へ

クエストは2014年より、カナダのアートセラピースクール「CiiAT(カナディアン・インターナショナル・インスティチュート・オブ・アートセラピー)」のディプロマ(卒業証明書)を取得できるカリキュラムをスタート。同資格を取得することで、世界で活動できるアートセラピスト「クリニカルアートセラピスト」になることができます。